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第17話 街間際での攻防

Author: 黒蓬
last update Huling Na-update: 2025-03-10 17:00:41

次の日は予定通り早めに野営地を発ち、しばらくすると遠目にカルヘルドが見えるくらいのところまでやってきていた。

『アキツグ、警戒して。右の林から何か近づいてきてるわ』

「襲撃者か?」

『分からない。けど、動物なら街道に入る私達に向かってきたりはしないと思う』

「分かった」

クロヴさんの方を見ると既に何かを準備しているようだった。

前もそうだったが気づくのが早い。もしかしたらセシルさんと何らかの方法で連絡を取っているのだろうか。単にロシェッテと同じくらい索敵能力が高いだけかもしれないが。

すると、クロヴさんから白い煙が立ち上った。

「やはり気づかれたか。だが、街の近くまでこれたのは幸いだな。衛兵がこれに気づけば救援に来てくれるはずだ。アキツグ、御者を頼む。俺とセシルは追いかけながら護衛する」

「分かりました」

そう言って御者台に座り、クロヴさんが馬車から少し離れたところでロシェに声を掛ける。

「ロシェ、悪いが敵が近づいてきたら迎撃を頼めるか。狙われているのはミアだけど、馬を止めるために先に俺を仕留めようとするかもしれない」

『もちろん。私の恩人と友達だからね。あんな奴らに傷つけさせたりしないわ』

「俺は友達じゃないのか?」

『恩人で友達よ』

「そっか。じゃ任せた!」

軽口を躱して俺は馬の制御に専念する。

正直怖くて仕方ないが、俺にできるのは少しでも早く街に近づくことだけだ。防御についてはロシェを信じることにした。

少しして、前回と同じくけん制の投げナイフが戦闘の開始を告げた。

林から次々と計5人の黒ずくめの姿が飛び出してくる。

うち二人はクロヴさんを抑えに行き、残りの3人がこちらに向かってくる。

向こうも短期決戦でエルミアを攫うことを優先しているようだ。

しかし、さらにその背後から飛び出してきたセシルさんが襲撃者の一人に奇襲を仕掛けて背中を斬りつけた。

斬られた襲撃者はバランスを崩して倒れたが、残りの二人は構わずに馬車の荷台に乗り込もうとしてくる。

だが、先頭に居た襲撃者が突如後方に吹っ飛んでいく。<
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